#001【 Hanae 】セラピスト / ビューティーコンサルタント(その2)
これまでの自分の先入観を捨てて、 「まっさら」で会う感覚を 信じようと決めた。

U: インタビュー その1で、Hanaeがパリに戻ってリセットした経緯を聞いたよね。自分を磨いてお客さんに還元して、またそこで学んでさらに良いものを提供してって循環してる感じがしました。Hanaeはエステを誰のためにやってる?自分のため?お客さんのため?その両方が出会う接点があるとしたら、どういうあり方なんでしょう?
H: このインタビュー、楽しいね!「私って、こう考えてるんだ!」って発見する楽しさがある。これこそ正にアウトプットだなあ。頭にある事を口にして、自分が耳にできるんだもの。それってすごく大事な気がする。
同じように、トリートメントをしていて手から感じるものって沢山あるんだよね。終わったあとに、「あなたの身体を触りながら、感じた事があったんですが、お話しさせていただいてもいいですか?」って聞いて、「いいですよ。」っていうお客様には少し精神的なお話をさせていただくことがあります。そうすると、話をしながら「私ってトリートメント中にこんなこと感じていたんだ!面白い!」ってなる(笑)。アウトプットしてみて初めてわかって、自分の感覚に感心したりして。 トリートメントを通して、私自身が学んでる事がすごく多いのだと思う。
「トリートメントは、100%お客さんのため!」って言い切る方もいるかもしれないけど、私は、自分のためにやることがお客さんのためにもなると思ってる。実際、トリートメントをすることで私自身が満たされるから、トリートメントは私のためでもあるのだよね。
梅ちゃん([註]*インタビュアーの梅澤のことです)もそうだと思うけど、セラピストとかコンサルとかコーチングって、行う側のモチベーションが何より大事じゃない?自分を磨くことが、お客さんを高めることに直につながる。精神世界を磨くこともとても大切だし、いいことだよね。同じように自分の見た目を磨くことも、お金というエネルギーをちゃんと循環させることも、大事だと思ってる。
そうやって自分を磨いてキラキラしている人は、やっぱり美しいし豊かだものね。人のためってことを履き違えて自分を使い果たすのではなく、自分を磨いて満たすことがお客様に対しての礼儀だと私は思うの。

-家族のために我慢することをなるべく止めちゃう。モチベーションを保ってると、家族も機嫌がいい!
U: 家族と仕事のバランスをどうとって、モチベーションを整えてるの?
H: 私は家族のために我慢することを、なるべく止めてます(笑) 旦那さんのために、こどものために、ってやってると、イライラしてきちゃうんだよね。だから、そうせずに「ごめん!1時間カフェに行ってきます!」って言っちゃう。今週は実は3日間連続で午前様でした(笑)これは、流石にいつもじゃないけどね。
ずっと一緒にいるよりも、心のままに行動してる方がリフレッシュできるし、私がキラキラしている時の方が、旦那もこどもも機嫌がいい。 エステのトリートメントもそう。自分のモチベーションを保つ方法を常に考えておく。対友人、対お客さま、どっちも同じです。

– 山登りをしてる時につらい坂道をどう歩くか?私はつらさを楽しめばいい!って思ってる。
U: その1でも出てた「美しくなろうとする努力をやめた時に人は輝く」ために、「努力をやめる」ところこそ、「頑張りどころ」だし、中にはつらいことが起こることもあるけど、楽しい。ここを勘違いしちゃって、本当に何もしないで「美しくなる」「輝く」のは難しいと個人的には思うんだけど、Hanaeはどう思う?
H: うん。日本では「引き寄せ」とか流行ってるよね。だけど、すごく幸せで、すごく楽しそうで、すごくお金持ちな人、沢山いるのかな?あまりいないよね?
「ふわふわしてても、願いなんか叶わない。歯を食いしばって努力してみよう。」って私は感じるよ。 歯を食いしばって得られるからこそ喜びもひとしおだし、すごいんじゃない?つらい経験を嫌がったり、否定する人も多いけど、つらい経験があるのも大事だと思う。そういう経験の中にはチャンスがある。「苦労は買ってでもしろ」っていうくらい価値があります!
山登りをしてる時につらい坂道をどう歩くか?だと思うんだよね。 つらい、つらい!と思いながら嫌々登るより、つらいけど他では見ることのできない不思議な景色があるなあ、登ったらもっと綺麗な景色が見られるなあ、って楽しみながら登りたい。 私は、つらさを楽しめばいいと思ってる! そうやって楽しみながら進んでも、当然ストレスはたまる。だから、そのストレスや感情を解き放つための努力もしなくちゃね。

- その人の個性を活かすために、余計なものを「抜いてあげる」。すると自然に生まれ変わる。
U: 読者の方からもお寄せいただいた質問です。「美しくなるためにできる ”セルフケア” はありますか?」
H: 私は、その人の個性を活かすトリートメントをしたいと思っています。 そのために「お客様のために全てを注ぎます」なんて余計なエネルギーは使わない。私は自身の個性を消して、お客さまの心身の汚れを消し去っていくのが好き。そして、そうやって生まれる空間に自然と満ちていくエネルギーを、ただ見守っていることが幸せでたまらないの。
日本の女性は、与えたり、入れこんだり、ではなく、ゆるめたり、抜いたり、全体的にマイナス、マイナス・・・をしていくほど、新しいパワーが芽生えてきて、精神面にも肉体面にも、新しくて素晴らしい変化がでます! エステで美しくなるって、「抜いてあげること」かもしれないね。お客さまのエネルギーが本当に落ちていたりしたら、入れこんだりもするけれど、それはごく稀なケース。抜いて自然に変わることのほうが、スムーズだし、心地よい。
だから、日本の女性にお薦めするセルフケアは、「ハッと肩の力を抜く」こと。 これやると、全然違いますよ!
家に帰った時に、顔の筋肉を全てゆるめて、素の顔に戻ってみる。それに5分集中してみて下さい。だら〜〜っと口を開けて、口角を下げて・・・。もう、だらしない顔でいい。それをゆっくり時間をかけて少しずつ力を抜いて完全にゆるめて、リセットしてあげます。全身の力を抜いてみてくださいね。 そうすることで、笑顔に新しいエネルギーが吹き込まれて、今まで以上に輝きます。

-これまでの自分の先入観を捨てて、“まっさら” で会う感覚を信じようと決めた。
U: 1日の中で背負った「こうしなくちゃ」の思いを降ろしたり、そこからのストレスから溜まった不要なものを抜いて「まっさら」にリセットするってことだよね。 このセルフケアは、Hanae自身の人生の流れともリンクするね。Hanae自身が「“まっさら” な状態になろう」って意識したきっかけはあったの?
H: うん。30代前半の頃に会った人と7年近く経って再会したら、当時自分が抱いた印象が良い意味で覆された経験がありました。私も昔は自信満々で血気盛んだったから、周りの目にはどう映ってたのか?って思うけど(笑)、この7年で変化して穏やかになった。40歳になってお会いしてみたら、互いに波乱万丈の人生を超えて、ものすごく豊かな会話ができたんです。 その経験があってから、「自分が人に対して持った先入観は全て捨てよう!」と思った。
人からの「あの人、気をつけたほうがいいよ」とか、逆に「あの人は、素晴らしいよ」とか、評判を聞くこともあるじゃない? だけど「そういうのは、捨てよう。それを除いて “まっさら” な気持ちでお会いして、自分が感じた感覚を信用しよう。」って決めた。難しいけどね!でもしてみようとするのと、そうじゃないのとは全然違うじゃない?

-「まっさら」なところで、自分以上でもなく以下でない、対等なエネルギー交換をしたい。
S: 「”まっさら” な頭で会って、自分の感覚を信じる」って素晴らしいね! それって互恵関係をつくる鍵でもあるんじゃないかな。取材をしてても、Hanaeは “まっさら” な状態で目の前にいて、そこから「シェアする」ということをすごく大切にしているのが分かるもの。 こないだHanaeがSHIGETA のChicoさんをトリートメントされてたレポを読んだけど、同じエステティシャン同士のお2人が「シェアする」マインドで気持ち良く交換をしている様子が伝わってきました。
H: うん。Chicoさんとは、ものすごく豊かな「エシャンジュ(交換)」が出来ました。彼女はパリでコスメブランドを立ち上げて成功している素晴らしい女性で、私が今からたどり着けるかわからない遥か先の領域にいらっしゃる。私には賞賛しかないもの。 彼女も色んな経験をしてきて今があるし、エステティシャン同士で協力し合って「みんなで一緒に成功しようね」っていう豊かな気持ちを持っていらっしゃる。
Chicoさんも含め、私よりももっと成功してる方たちって心に余裕を持っているから、人の面倒見がとても良くて。これまでそういう方たちと出会って触れ合ってきて、私はそのあたたかさや空気感が心地よかったし、そういう心のあり方を学ばせていただいた。 だから、私もギスギスと「自分で成功したい!」じゃなくて、成功した人から受け取ったことを、若い人たちに対してお返ししていきたいし、楽しく成功している人たちと一緒にいたい。
私自身は「成功してる」って思ってないしね(笑)日本にいるときは、そう見えてたかもしれないけど「まだまだ!」って思い続けてました。まだまだって言っても、成功を目標として進んでいるわけではないから、自分がやりたいことが「まだまだ」いっぱいある!って感じ。何を「良しとするか」は、その人の感覚によるものね。
私は今、またパリに来て「まっさら」な自分を、「評価をしてほしい!」って思ってます。もちろん、やったことへの対価としての報酬もほしいけど、それは自分がやった以上でもなく、以下でなく、対等なエネルギー交換をしたいってこと。 40歳の今、ゼロから始めることって「厳しいな」とも思うけど、パリで自分自身を試したいんだよね。色眼鏡じゃない厳しい目でちゃんと認めてもらえたら、自分にもっと自信が持てると思うから!


-「何かしら影響を与えることができたかもしれない」って思えた時が一番嬉しい!
U: 「エステをやっていて、どういうときに喜びを感じますか?」これも読者からの質問です。
H: 「お顔が上がった!」って技術にたいして喜んでいただくことも嬉しいし、様々なお客さまとの出会いも嬉しい。色んな喜びがあります。でも、自分自身の存在が「何かしら影響を与えることができたかもしれない。」って思えた時が一番嬉しいです。
おこがましい感じがするけれど、最終的な目標は「人々に素敵な影響を与えられる女になること」なんだよね。そして、そんな素敵な女になるために「自己満足」を大切にしなきゃ、って思ってるの。
施術する側の意識というのは、必ずエステの結果に出るものじゃない?「どこか足りない」「私はダメだ」と悩みながらの施術では、よい結果にならない。だけど、自分のエステは効果がでる!この技術は素晴らしいって100%思えてたら、必ず驚くような結果になるのよね。だから、エステの技術は当然として、いつでも「自己満足」100%な自分でいたい。そして、それによって素敵な影響を与えられると嬉しいな、って思う。
今、日本からまたフランスに戻って、どんどん自分のあり方が変わってきているの。これから自分らしいエステが再構築されていくことが楽しみです。「自分らしさ」なんて、いろんな経験しないとわからないものだものね!

編集後記
そう言ってHanaeは、”心から” 大笑いした!
私もとても楽しかったし、いっぱい笑った。 インタビューが終わった後に、互いに顔がちょっと火照って生き生きとしていたと思う。
60分間、最初から最後まで、投げかけた言葉や質問に対して、ひとつひとつ自分の内側に確認しながら、真摯に答える姿は本当に印象的だった。そして、「改めて考える機会になって、すごく有難かった。」と伝えてくれた。
互いにそういう部分があったのだと思う。今、この時のやりとりを思い出すだけで、私自身の中にある力や美しさがぽこぽこ湧いてくる。一方的にエネルギーをもらって元気になった!とかじゃなくて、対話してる中で、お互いに削ぎ落とされて引き出される感覚になったのが面白い。
彼女は輝いてた!
これまでもエステを通して、お客さんを美しく幸せにしてきた。 でも、それにしがみつくことなく整理して次に向かって行った心意気も、どう思われるか臆することなく今のチャレンジを楽しそうに!シェアしてくれた姿は、私たちにも彼女のお客さんにも勇気やインスピレーションを与えてくれる。そうやっていつも自分を輝かせている彼女だからこそ、お客さんの美と輝きを引き出すことができるんだろう!
Hanaeが日本に帰国した時にまたエステを受けたいなと思った。
→その1を読む
*記事内の写真は全てHanaeさんご本人からご提供いただきました。
Hanae
セラピスト/ビューティーコンサルタント。フランス、パリにてトップセラピストとして活躍。7年のフランス生活の後、2008年に日本へ拠点を移しサロン【 Hanaessence 】を創設。サロン活動の傍ら、ビューティーコンサルタントやサロンアドバイザー、エステ講師などと活躍の場を広げ、書籍の執筆も行う。 2015年12月に再び渡仏。2016年秋に【 Hanaessence paris 】を立ち上げ、パリのセレブたちに愛されるセラピストとして活躍中。
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